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私たちの研究室では、金属や誘電体の微細な構造(ナノ構造)の光学特性の研究やメタマテリアル、そして、それを利用した光デバイスの開発を行っています。

金属の小さな構造はその形状により様々な光学応答を示すようになります。これを局在表面プラズモン共鳴と呼びます。金の微粒子は古くから教会のステンドグラスの色材などに用いられてきました。金は微粒子では金色ではなく赤やオレンジ色などを呈するようになります。また、形状や粒子の形を変えることにより、様々な色を実現できます。この色材は、金属でできているため安定で、長い間退色することはありません。金属だけでなく、誘電体や半導体も微粒子などの微細な構造では様々な光学応答を示すことが知られるようになってきました。

また、自然界には存在しない特異な光学応答を示すメタマテリアルは、金属や誘電体の微細な構造により実現します。不思議な光学応答の例として、負の屈折を示す物質や物体の不可視化(クローキング)などがあります。メタマテリアルでは特に構造の設計による自由度が高いことが特徴です。そのため、理論的にな光学応答を予測するだけでなく、数値的な計算、例えば、有限差分時間領域法(FDTD)や有限要素法(FEM)による電磁界解析を使った計算を行い、構造設計を行い、その上で構造を作成し、光学応答を測定するという手順を踏みます。最近では、機械学習を使った構造設計も行われており、今後も様々な光学的な機能を示すメタマテリアルが出現するでしょう。

私たちの研究室では、金属や誘電体の微細な構造やメタマテリアルの設計、計算機実験、作製、評価(測定)を行っています。たとえば、光の波長より薄い金属薄膜を使って広い波長範囲の光を吸収する黒体を実現したり、物体の不可視化を計算だけでなく実験的にも実現したりしてきました。そして、機械学習や遺伝的アルゴリズムを用いた物体の不可視化構造の設計を行っています。さらに、黒体放射を使って物体を冷却する研究も行ってします。この応用としては、無電源で物体を冷却したり、夜間に発電できるデバイス等があり、エネルギーや環境問題の解決に貢献できます。