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光や電磁波を吸収する材料の研究

光学フィルターや黒体などの光を吸収する光学素子は地味ですが、近年その重要性が認識されています。(黒体はすべての波長の光を吸収する物質ですが、実際には存在しませんので、ここでは、広い波長範囲にわたり光を吸収する物質を黒体と呼ぶことにします。)

黒いペンキや墨汁は黒いですが、いずれも、光を吸収するには厚さ(数10μm以上)が必要です。しかし、金属のナノ構造中の表面プラズモンを使うと、薄くても広い波長範囲で光を吸収する薄膜を作成できます。私達は図1に示すような金のナノ構造を使った黒体を作製しましした。厚さは約0.5μmで大部分の可視光を吸収する薄膜です。

さらに、自然界の材料を使って黒体を作ることに成功しました。蓮の葉の表面に10nmの厚さの金をコートして黒体を実現ました(図2)。蓮の葉は高い撥水性を示しますが、これは直径10μm程度のこぶとその表面にマカロニ状の細かい構造があるためです。この表面を金でコートすると光をトラップして黒体となると考えています。蓮以外にも、里芋の葉や蝉の翅を金でコートすると光を吸収する性質を示すこともわかりました。

光だけでなく電波を吸収する物質も重要です。不要な電波の輻射を抑えたりできるためです。私達は、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークを使って、5Gや6Gに用いられるミリ波に対して薄い膜でも十分に電波を吸収する材料の設計を行っています。

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